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働き盛りの死因の約牛分はがん がんの予防についてくわしい話をする前に、がんが日本人の健康にどれだけ影響をおよぼしているかを、まずみてみましょう。
二〇〇〇年(平成コー年)の日本の人口は一億二六九二万五八四三人。
このうち同じ年に死亡した人は九六万一六五三人です。
一年で日本人の一三二人に一人が、亡くなっている計算になります。
この九六万人の死亡者について、死因別の内訳をみると、次のようになります。
・一番多いのは「悪性新生物」、つまり「がん」です。
人数では二九万五四八四人、全死因 のじつに三〇・七パーセントを占めています。
●二番目に多いのは、心不全や心筋梗塞などの「心疾患」です。
人数では一四万六七四一 人、全死因の一五・三パーセントにあたります。
・三番目に多いのは、脳卒中などの「脳血管疾患」です。
人数では一三万二五二九人、全死因の一三・八パーセントにあたります。
つまり、二〇〇〇年の日本は、次のような状況でした。
肺炎 不慮の事故 自殺 その他 「人口動態統計」2000年厚生労働省心疾患@一年でおよそI〇〇万人が死亡している。
●「がん」マ心疾患」「脳血管疾患」の三 大死因が、全体の六割を占めている。
・がんが死因の第一位。
死亡全体の約三 割を占め、毎年およそ三〇万人が亡くなっている。
三〇万人といえば、青森県の青森市、兵庫県の明石市、沖縄県の那覇市などの人口とほぼ同じです。
これらの都市の全人口に相当する人数が、毎年がんで亡くなっているのです。
がんは、日本人の健康のことが、あらためてイメージできるのではないでしょうか。
ここまでの話は、赤ちゃんからお年寄りまで、すべての年代を含めた場合の話でした。
ところが、働き盛りの年代(四〇歳から六九歳まで)に限ってみると、がんの影響はいっそう大きなものになります。
図表1−1にみるように、この年代で亡くなる人の、なんと半分近く(四四・六パーセント)は、がんが原因です。
「働き盛りで亡くなる人の約半分は、がんで死亡する」というわけです。
この年代にとって、がんがいかに深刻な問題か、お分かりいただけるでしょう。
日本人に多いがん それでは次に、がんのなかでも、どのがんによる死亡が多いか、その内訳をみてみましょう。
ここではもう一度、すべての年代を含めて、二〇〇〇年のデータを示します。
まず男性(図表112)ですが、一番多いのは、肺がんです(三万九〇五三人)。
がん死亡全体の二丁八パーセントにあたります。
二番目に多いのは胃がんで(三万二七九八入)、がん死亡全体の一八・三パーセントにあたります。
三番目は肝臓がん(がん死亡全体の一三・ニパーセン上、四番目は大腸がん二一・フハーセント)、五番目は膠臓がん(五・八パーセント)と続きます。
この上位五つのがんが、男性のがん死亡全体の七〇・ニパーセントを占めています。
次に女性をみてみましょう(図表1‐3)。
一番多いのは胃がんで(一万七八五二人)、がん死亡全体の一五・三パーセントにあたります。
二番目に多いのは大腸がんで(一万六〇八〇人)、がん死亡全体のコニ・八パーセントにあたります。
三番目は肺がん(がん死亡全体の二万六パーセント)、四番目は肝臓がん(八・九パーセント)、五番目は乳がん(七・九八Iセン上と続きます。
この上位五つのがんが、女性のがん死亡全体の五八・六パーセントを占めています。
まとめると、次のようになります。
・男性のがん死亡は、肺がんが一番多い。
上位五つのがんが、全体の七割を占める(肺・ 胃・肝臓・大腸・脈臓)。
・女性のがん死亡は、胃がんが一番多い。
上位五つのがんが、全体の六割を占める(胃・大 腸・肺・肝臓・乳房)。
日本人に多いがんの共通点 ところで、日本人男女のがん死亡の上位五位までを占める、これらのがんには、共通の特徴が一つあります。
どんな共通点だと思いますか?本書で順次説明していきます。
その意味で、ここで図表1‐4を示すのは、少し先走っているかもしれません。
また、この表に挙げた予防法を実行したからといって、それぞれのがんを完全に予防できるというわけではありません。
けれども、次のことをまず確認しておくことは、とても重要です。
「日本人のがんの多くは、現在の知識や技術によって、すでに予防できる状態にある。
医学が将来進歩するまで、手をこまねいて待つ必要はないし、待つべきではない」 意外な事実に、驚かれる方もあるかもしれません。
私自身、この原稿を書くために資料をまとめながら、あらためてこう感じました。
「現在の知識や技術によって、すでに予防が可能なはずのがんで、いまも多くの人が亡くなつている。
そのことが、がんを日本人の死因の第一位に留まらせていることにつなかっている」 ですから、がん予防についての正確な知識を得ることは、私たちの生死にかかわる重大事なのです。
最初にその点を強調しておきたいと思います。
一次予防胃がん野菜と果物を多く食べる。
塩分を減らす。
定期的に検診を受ける。
バリウムX線検査。
大腸がん野菜を多く食べる。
運動をする。お酒と肉類を控える。
定期的に検診を受ける。
便潜血検査。
たばこを吸わない。
野菜と果物を多く食べる。
定期的に検診を受ける。
胸部X線検査と喀痰細胞診。
肝臓がんお酒を控える。
検診を受ける。
血液検査(肝炎ウイルス抗体検査)。
野菜と果物を多く食べる。
肥満を避ける。お酒を控える。
定期的に検診を受ける。
マンモグラフィー(乳房X線検査)。
野菜と果物を多く食べる。
たばこを吸わない。
有効性が科学的に確認された検診はない。
著者作成資料 「どのがんについても、科学的に有効性が確認された、予防法が存在する」 これが、答えです。
それぞれのがんに対する、具体的な予防法を、図表1−4にまとめました。
ここで、がんの「一次予防」とは、がんになること自体を防ぐことをいいます。
具体的には、たばこを吸わない、野菜や果物を多く食べるなどの、生活習慣の改善を意味しています。
これに対して、がんの「二次予防」とは、かりにがんになった場合でも、早期発見や早期治療を通して、がんで死亡するのを防ぐことをいいます。
具体的には、がん検診のことを意味しています。
それぞれの予防法に、どの程度の科学的根 増えているがん、減っているがん それでは、日本人のがんのうち、増えているものはどれで、減っているものはどれでしょうか。
図表115と図表I−6には、一九六〇年(昭和三五年)から二〇〇〇年まで、四〇年間の、おもながんの死亡率の推移を、男女ごとに示しています。
図の縦軸は、「人口I○万対年齢調整死亡率」です。
「人口I○万対の死亡率」とは、人口I○万人あたり、一年間で、何人がそのがんで亡くなるかを表しています。
「年齢調整」とは、時代によって日本人の年齢構成(高齢者の割合など)が違うので、この影響を統計的に取り除いて調整したという意味です。
たとえば、人口に占める高齢者の割合は、じっさいには一九六〇年より二〇〇〇年のほうが多いのですが、もしも二つの時期でこうした年齢構成が違わなかったとしたら、がんの死亡率がどうなるかを比べているわけです。
がんはもともと高齢者に多いのですが、この「年齢調整死亡率」が増えていれば、高齢者の増加では説明できない、それ以外の原因で死亡率が増えていることを意味します。
またこの図では、大腸がんを、肛門に近い「直腸がん」と、直腸より上の「結腸がん」に、分けて示しています。
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